メニュー

〒923-0802
石川県小松市上小松町丙192-8
tel 0761-21-5413

スタッフブログ・トップ

スタッフブログ

門脈-体循環シャント

 201607010001(edit).jpg  201607010002(edit).jpg

 さぼり癖が出てしまい、久方ぶりのブログ更新になってしまいました。笑。

夏も本番となってしまいましたが、ワンちゃん、ネコちゃんも熱中症には気をつけましょう。今日は、先天的な原因により起こる門脈-体循環シャント(PSS)という病気についてお話し致します。

 PSSは、大半が犬ですが、稀に猫でもみられます。若齢で本疾患がみつかる多くの場合、たいてい「この子は、体重が増えない」、「時々吐く」、「震える」、「発作を起こす」、「便がゆるい」、「下痢」、「尿が汚い色をしている」などの症状で来院されます。これらの症状は、PSS以外の原因でもよく起こるため、原因が何なのかは、しっかり検査をしなければ分かりません。例えば、血液検査も通常の不妊手術で実施するような内容では、発見されないことも多く、それらの項目に異常がないからということで、不妊手術を実施してしまい、その後、麻酔からの覚醒が異常に悪いなどのトラブルが起こることもあります。

 口から摂取した一部の栄養素は、腸から腸間膜静脈を通り、門脈という血管に集まり、一旦肝臓へ行きます。そして、肝臓でタンパクを合成したり、アンモニアなどの毒素を解毒し、心臓に戻って行きます。ところが、この門脈が生まれつき異常な形態を示す個体がおり、肝臓を迂回して静脈へ流れてしまうのが、このPSSです。したがって、PSSの個体では、肝臓へ流入する血液が乏しいため、肝臓が未発達であり、X線検査などで、肝陰影の小さくみられます。糖をグリコーゲンとして貯蔵したり、タンパク合成したり、有害物質を解毒する肝臓が未発達なため、さまざまなトラブルが生じます。

 PSS自体は、診断がすごく難しい疾患ではありません。本症が疑われる場合、通常の血液検査に加え、食事負荷試験(食事摂取前と摂取後でアンモニアと総胆汁酸の測定する)をと呼ばれるものを追加し、さらにX線検査および超音波検査(カラードプラによる血流方向の確認(図1,2 ))など、今の獣医学では当たり前となっている検査を実施することで、かなり高い精度で診断することが可能です。

 以上のような検査でPSSまたは何らかの肝機能障害と確定され、CT検査や門脈造影検査などにより短絡血管が同定され、かつ肝臓自体に余力があれば、外科的治療により短絡血流を遮断することで肝臓の発育を促し、肝機能を改善させることが可能です。しかしながら、年単位でこの病気が放置されていたり、肝硬変という状態に陥っていたり、多数の短絡血管がみられたり、短絡血管が肝臓の中に深く入り込んでいる場合は、手術が不可能なこともあります。

 CT検査は、3次元的な情報が得られ、手術を前提とする場合には極めて有用であります。しかしながら、その前段階として通常の動物病院レベルでも実施可能な諸検査により少なくとも本疾患を強く疑うまたは仮診断することが可能であるため、上記の様な症状がひとつでもある場合は、動物病院にご相談することをおすすめ致します。

  2016/07/06   スタッフ

病気と食餌について

 いよいよ4月になり、場所によっては桜も満開になっております。ようやく、春らしい気候になってきましたね。

今日は、病気と食餌について少し考えてみたいと思います。中国では医食同元という言葉があり、ヒトでは大分前から医学と栄養学は切っても切れない関係になっており、獣医学でも全く同じことが言えます。確かに動物に与えてはいけない食品や、代謝機構や必須アミノ酸に違いがあり、ヒトと同様ではありませんが、共通点がかなりあるのも事実です。

 「食事は栄養と薬になるが、薬は栄養にならない。」という格言があります。私自身もこの言葉は時折、飼主様へも引用させていただいております。病気で病院へ行き、薬を処方され、果たして治療はそれでおしまいでしょうか?決してそうではありません。症状を急速に緩和させるために確かに我々も薬剤を使用しない日はなく、毎日のように処方しますが、その薬を飲んでさえいれば、どんな食生活でも問題ない、なんてことは決してありません。内服薬を使用していても、適切な食餌を摂取していないとまさに本末転倒になってしまいます。

 動物において、ヒト並みのきめ細かな栄養管理を実施することは、選り好みの問題等もあり、困難であることも多いです。「これまで食べ慣れてきたフードの方がよい。」や、もっと極論では「好きなものを食べてさせて、それにより仮に寿命が短くなってもしょうがない。」という考え方を受け入れないといけない場面も実際に獣医療の現場ではあります。しかしながら、現在では5年、10年前と比べると格段にフードの選択枝が増えてきており、病気の動物でもおいしく食べられるフードなどもあります。また、動物ではヒト以上に食事療法の効果を体感しやすい面(適切なフードへ変更することで、ダイエットに成功する、肝酵素値が正常化する、下痢が改善する、腎または尿結石が改善する、etc)もあります。したがって、「この子は食べないから」とあきらめる前に、色々試してみることが重要です。逆に食餌療法をせずして、病気の改善はないと言っても過言ではありません。特に、慢性疾患を抱える動物の飼主様は、今一度、食餌内容が適切か、見直しをしてみて下さい。

 

  2016/04/05   スタッフ

腸内細菌叢について

nonsuply.JPG  suply.JPG

 なんだかよく分からない天気ですが、今日は外が暖かいです。

 本日は、腸内細菌について少しお話ししたいと思います。嘔吐、下痢に代表される動物のお腹の病気は、とくに季節性があるわけではなく、他の疾患と比べると年中比較的多くみられます。下痢は、異物摂取、薬品摂取、寄生虫、腫瘍、膵炎、腸炎など原因が多岐に渡るため、しばしば原因究明に難儀することもあります。疾患により下痢のタイプや、頻度は異なりますが、症状が慢性的に継続する場合は、少なくとも何らかの腸内環境の異常が示唆されます。

 人医学において、近年、腸内細菌叢の研究が進歩し、様々な疾患との関連性が示唆されております。動物では、ヒトほど十分な科学的根拠がまだありませんが、おそらく関連性が全くないとは言えず、腸内環境の整備ついて動物でも検討する必要があると思われます。

 掲載させて頂いた写真は、異なる犬の便をグラム染色という方法により染め出し、光学顕微鏡で観察したものです。この染色により、腸内細菌を青または赤で染色することで、その細菌が善玉菌なのか、悪玉または日和見菌なのかを大まかに判別することができます。善玉菌は、ほぼ全てが青く染まる細菌なので、青い細菌が少なく、赤い細菌が多い場合、腸内細菌叢が乱れている可能性が示唆されます。

 上下いずれの個体も基本的に正常便を排出しますが、上の個体は時折、軟便や血便を呈しております。下の個体は、以前、軟便傾向を呈していたため、それ以降、乳酸菌サプリメント(Enterococcus faecalis)を常時与えております。上の個体には、特に整腸剤は与えておりません。上下の写真をよくご覧頂きたいのですが、上の写真では、青い細菌がみられるものの、赤い細菌とほぼ同等であり、善玉菌が優勢とは言い難い状況です。一方、下の写真では、明らかに青くダルマ型を呈した細菌が赤い細菌より多くみられていることから、良好な腸内環境が構築されていると思われます。

 便検査は、消化器疾患を鑑別する上で、初歩中の初歩であり、到底この検査だけで全てを把握できませんが、便は口以上に物を言う存在かもしれません。ヒトと同様に、動物も有害な環境因子に暴露される時代ですので、腸内環境の整備は重要であります。

 

  2016/02/12   スタッフ

慢性疾患に対するお薬について

ようやく少し雪が積もり、北陸らしい冬といった感じですね。笑。

 本日は、慢性疾患におけるお薬の使い方について、少しお話ししたいと思います。動物にもヒトと同様の病気が数多くあるため、日常的に使用される薬剤の種類も年々増加しております。特に、慢性の病気(心臓病、腎臓病、糖尿病、内分泌疾患、高脂血症etc)では、完治を見込めないものが多く、お薬の力に頼らざる得ない現実があるため、栄養管理とともに、うまく服用していく必要があります。以前は、長期生存が困難であった心臓病も、様々な内服薬の誕生により、動物達の生活の質向上に大きく寄与していると言えるでしょう。

 ところで、調子が良いからといって全く定期健診を受けず同じ薬何年も飲み続けているとどうなるでしょう?この問題には答えがいくつかあります。もちろん、一生涯に渡って飲み続けても生体に悪影響を与えない薬剤もあります。第二に、必要ない薬を飲み続けている可能性です。第三は、さらに他のお薬を追加しなければいけない状態なのに、前の処方を継続してしまっているケースです。

 第二および第三の例として、肺に水がたまる、体がむくむなどの心不全徴候に対して使用される利尿剤があります。利尿剤を使用することにより、体から適度に水が抜ければ、大きく症状は改善されます。ところが、水を引き過ぎると、必要な水も奪われ脱水状態となり、、腎不全などを招来しかねません。第三の場合は、逆に他の利尿剤を追加するか、増量することも検討する必要があります。

 慢性疾患が故に、病気が進行するスピードがゆっくりな場合もあり、元気にみえてもよく調べてみるとかなり病態が進行していることもあるため、注意が必要です。いずれにしても、何年もメンテナンスをしていない車に、そのまま乗り続けること程怖いことはありません。

  2016/01/21   スタッフ

明けましておめでとうございます

 明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願い致します。今年は、暦的に短いお正月でした。笑。山側でも行きが非常に少なく、もう春の訪れさえ感じてしまう奇妙な天候です。

 この時期、空気が乾燥していることを除けば、心疾患や皮膚疾患を有する動物は比較的過ごし易い季節かもしれません。一方、流行病として、猫でかぜ様症状を起こす「猫伝染性鼻気管炎」には注意が必要です。以前、ブログでも簡単な説明をさせて頂きましたが、ワクチンを接種している個体も感染しないわけではありません。また、一度これらのウイルスに感染すると、体内からウイルスが完全に消滅する可能性が極めて少ないため、免疫力が低下した時に再び症状が現れることがあるため、非常に厄介な病気といえます。この病気を起こす病原体として複数のウイルスや細菌が分かっており、どの病原体に感染するかで症状は異なりますが、目やに、鼻水、くしゃみ、よだれなどの症状がみられる場合は、重篤化する前に早急な治療をおすすめ致します。同居している他の猫へ伝播することがあるため、複数頭で飼育されている方は、他個体への感染に十分注意する必要があります。

 野良猫の何パーセントがこれらの病原体に罹患しているかははっきり分かりませんが、そうした動物との接触により感染する可能性は非常に高いと考えた方が良いでしょう。感染を防止する方法としては、やはりワクチン接種と室内飼育に尽きると思います。

 

  2016/01/05   スタッフ

とうとう師走に・・・

 とうとう、12月になってしまいました。何かそわそわする月です。笑。暦の関係で、今年は年末年始の休診日は比較的短いのですが、内服薬を常時使用している動物達は、お薬を切らさないようにお気を付けください。もし、なくなりそうであれば、年末になる前に早めのご対応をお願い致します。

 今年は、暖冬とは言え、朝晩はかなり冷え込んでおります。心疾患や、呼吸器疾患を有する動物にとっては、過ごし易い季節と言えるかもしれません。しかしながら、あと半年もすれば、また暑い季節がやってくるはずです。現在、体重過剰で呼吸に支障をきたしているワンちゃんなどは、この時期を有効に使い、夏になる前に是非ダイエットを頑張ってみて下さい。なかなか体重管理がうまくいかないという場合、必ず原因があるはずなので、一度ご相談いただければと思います。ご一緒にその動物にとって最適なプランを考えていきましょう!

  2015/12/08   スタッフ

健康診断の重要性

 あっという間に前回のブロブ更新から大部時間が経ってしまいました。朝晩は、冷え込む様になり疾患を持ったワンちゃんネコちゃんは、寒暖の差に応えているかもしれません。

 これまでも、検診の重要性はお話しさせていただいております。昨今、特にヒトの乳がんにおいて定期健診が盛んに議論されております。医学的に、ある一定頻度での受診が推奨されておりますが、検診を受ける頻度は人によって全く異なるのが現状でしょう。動物も同じで、飼い主様により考え方も異なりますので、中には一生涯、全く動物病院に来ることなく、亡くなる動物もおります。確かに、検診は決してパーフェクトなものではなく、一回の検診で「異常なし」であっても、その後、まもなく病気が判明することも珍しくありません。「異常なし」と「正常」が混同されがちですが、これらの単語の意味は大きくことなることを知っておく必要があります。通常の検診でチェックするのは、明らかな異常があるかないかであり、異常がないからといって、正常であるとは誰も言えないということです。「正常」を証明することは、非常に困難なことであり、まずベルトコンベア式の集団検診では無理であるといえます。

 では、検診を受ける意義はどこにあるかという問題です。人間ドッグ等に行かれている方は、よくご存知だと思いますが、動物においてヒトと全く同じ検査項目を実施することは、現実的に不可能です。では、血液検査のみで全ての疾患を診断できるかというと、もちろんそうではありません。なぜなら、血液検査で診断できない病気の方が実際には多いからです。しかしながら、身体検査、血液検査、X線検査、尿検査などの簡単な検査を組み合わせることで、診断精度が向上し、命に関わる重大な疾患を発掘できることも多々あります。動物の場合、明らかな症状が既に発現している場合、その疾患がかなり進行していることが多いため、症状がないうちに、検診を受けておくことが重要と言えます。仮に病気になったとしても、その動物の基礎データをあらかじめ知っておくことで、過去のデータと比較することが可能となり、有用な情報となり得ります。

  2015/10/26   スタッフ

矢田獣医科病院

〒923-0802
石川県小松市上小松町丙192-8
tel  0761-21-5413
fax 0761-24-6407