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糖尿病について

 久しぶりのブログ更新となりました。朝方はまだまだ寒いですが、多少は春めいてきた感じです。以前、内分泌疾患について少しお話しをさせて頂きましたが、今日はその中でも特に糖尿病について書かせて頂きます。

  糖尿病は、犬でも猫でも起こり得り、そのメカニズムは、ヒトと大きくは異なりません。つまり、インスリンという血糖値を下げる働きをするホルモンが膵臓から分泌されなくなる、または分泌が低下することにより、血糖値のコントロールが不能となり、高血糖状態になります。血糖値が高いだけでは死に至ることはありませんが、血糖値が異常に高い状態が持続すると、他の臓器へ悪い作用を及ぼします。回復不可能な神経症状などを呈したり、血液の浸透圧が増大することで著しい脱水を引き起こすことで、死に至ることもあります。

 糖尿病の動物で多い症状として、多飲多尿、多食、体重減少、餌を食べる割に太らない、などがあげられます。しかしながら、こうした症状はなかなか飼主に気付かれにくいこともあり、糖尿病性ケトアシドーシスや、糖尿病性昏睡といった、究極的に全身状態が悪化して初めて病院を受診する動物も珍しくありません。

  ヒトと同じように、健常な動物でも血糖値は1日の中で変動し、空腹時と食後では当然値は異なります。また、ストレスでも血糖値は大きく変化します。したがって、血糖値が参考値より高いからといって糖尿病とは診断できません。糖尿病と診断するためには、少なくとも尿にブドウ糖が出現していることが条件となります。犬では血糖値が175-225mg/dl、猫では275-325mg/dl以上になると、尿糖が腎臓より排出されてしまいます。その時だけたまたま高血糖だったのか、高血糖が持続しているのかを調べるため、過去2-3週間の平均的な血糖値を知る血液検査もあります。ヒトでは、HbA1cが世界標準であり、動物でも一部の検査機関で測定が行われておりますが、糖化アルブミンや、フルクトサミンといわれるマーカーがより一般的に使用されております。

  持続的に高血糖が起きており、糖尿病と診断された場合、何らかの治療が必要です。犬の糖尿病は、ヒトのI型糖尿病に相当する病態がほとんどであるため、他の基礎疾患が無いかどうかを調べるとともに、インスリンを継続的に投与する必要があります。一方、猫はII型糖尿病の病態が存在するため、食事、生活環境の改善により、インスリンから離脱できることもあります。

 インスリン投与による治療は確かに基本ですが、適切な食事を与えることはもっと重要かと思われます。白米、小麦粉に代表されるいわゆる白い食品は、摂取後の血糖値を上昇させるスピードが速いため(高GI値)、特に糖尿病や、その予備群である肥満の動物には適しておりません。糖尿病の原因が必ずしも肥満ではありませんが、急激に血糖値を上昇させると一気にインスリンが分泌され、血中のブドウ糖は脂肪細胞に吸収され、脂肪の成長を助長することを考えると、食後の血糖値をゆっくり上げる工夫として、繊維質の摂取がかかせません。

 病気を早期発見するためにも、尿検査などを含めた健康診断をおすすめいたします!

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