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泌尿器系における結石のお話し

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とうとう、冬になってしまいました。季節の変わり目のため、お飼いになっている動物に体調の変化などはないでしょうか。この時期は、泌尿器系のトラブルが多くみられる傾向にあります。泌尿器系の代表的な症状として頻尿、血尿および多飲多尿などがあります。

 泌尿器系は、腎臓、尿管、膀胱および尿道で構成されており、様々な疾患が起きうります。近年、非常に多いのが結石です。特に、尿管および尿道にこの結石が詰まると命にかかわる事態となるため、腎臓および膀胱内に結石がある動物は注意が必要です。

 腎臓内にできてしまった結石は、ヒトの場合、超音波による破砕などが実施されておりますが、動物ではまだまだ一般的ではありません。また、腎臓にメスを入れるリスクを考慮すると、腎結石に対する手術には疑問も残るため、当院では積極的には実施しておりません。療法食や薬剤またはサプリメントを用いて、結石を溶解したり、排出を促進したり、結石が大きくなることを予防するしかありません。腎結石は、腎臓内でじっとしていてくれればまだ良いのですが、尿とともに尿管を下り、尿管のある場所で詰まるか、膀胱内へ下りてくることがあります。後者の場合、膀胱結石といわれ、血尿や頻尿の原因となります。膀胱結石も膀胱内にあるうちは、すぐに命には関わりませんが、その先にある細い尿道に詰まると、いわゆる尿道閉塞となり、一刻を争う事態となります。特に、雄は雌と異なり尿道が細く長いため、尿道閉塞を起こしやすいのです。

 膀胱結石は、腎臓と異なり手術による結石摘出術を比較的実施しやすい臓器ですが、摘出してもその後しっかりとした食餌療法は実施しなければ再発することもあります。また、特に猫ちゃんの尿道閉塞では、尿道が元来細かったり、閉塞を繰り返す場合は、尿道を拡張する手術をおすすめすることもあります。

 一方、最も厄介なのは、尿管結石です。尿管に詰まった結石が内科療法により膀胱へ流れることもありますが、流れたとしても、膀胱に結石を流そうとする間は、腎臓にかなりの負荷がかかります。さらに、腎臓に明らかな水溜りが形成されていたり、尿管が完全に閉塞した場合は、外科的な治療をせざるを得ません。かつては、尿管に直接メスを入れ、結石を除去する手術が実施されておりましたが、尿管を切開し、縫合することで術後尿管がさらに狭くなることがあります。そのため、近年、新たな術式としてSUB-system(写真参照)といわれる方法を当院では採用しております。この手術は、尿管の役割をする人工の装置を体内に埋め込み、バイバス路を形成することでスムーズな尿の流出を促すものです。

 排尿や排便は、生体にとって極めて重要な機構なので、飼っておられる動物達の毎日の様子をよく観察しましょう! 

 

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