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慢性腎臓病

 慢性腎臓病についてお話ししたいと思います。腎臓病には急性腎不全と慢性腎臓病があります。これは、経過による違いであり、簡単に言うと長年の時間経過とともにじわじわと悪化したのが慢性腎臓病です。一方、急性腎不全により急激な腎臓へのダメージが、そのまま残存したことにより慢性化し、慢性腎臓病にいたるケースもみられます。  

   慢性腎臓病は、特に猫で非常に多い泌尿器系の疾患であり、高齢動物では注意する必要があります。初期症状として、「たくさんお水を飲む」、「たくさんおしっこをする」、「色の薄いおしっこをする」などがあります。進行すると体内の水分が奪われ脱水状態となり、体重減少、食欲低下~廃絶、嘔吐、「息が臭い」などの症状を示します。末期的になると、乏尿といって腎臓での尿産生が停止し、貧血などを合併した後、最終的に体内の老廃物を排出できないため尿毒症となり死の転帰を迎えます。腎臓の恐ろしいところは、肝臓などの再生能力がみられる臓器と異なり、ひとたび腎不全に陥ると残念ながら機能が甦ることはほとんどないことです。

   軽度の腎障害は症状が見逃されることも多く、尿検査や血液検査の所見から診断することになりますが、疾患には常に検査の限界がつきまといます。腎臓のスクリーニング検査として一般的に実施されている血中尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cre)は感度の高い検査ではないため、正常値であっても腎不全ではないと言うことはできません。逆に、参照値を超えている場合は、腎臓の大多数(70%以上)が障害を受けている可能性があります。血液検査で正常値であっても、比重の低い尿(低比重尿)がみられる場合、腎不全に警戒する必要があります。但し、尿検査および血液検査のいずれも一度の検査では腎疾患と確定判断することは困難なため、十分な水分摂取をおこなった後、再検査を実施する必要があります。

   上述の通り、ダメージを受けた腎臓を再生させることは困難であるため、慢性腎臓病との診断が下った場合は、とにかく腎臓を少しでも長持ちさせること考える必要があります。過去の研究データから、腎不全罹患動物において低リン食を摂取させた方が、リンを制限していない一般食よりも生存期間が延長することが知られているため、リンおよびタンパク質を制限した食事療法は極めて重要となります。その他、薬物治療として腎血管を拡張させる血管拡張薬、食事中に含まれるリンを吸着させる、いわゆる吸着剤の使用などがあります。食事療法および薬物療法で、一般状態の維持が困難な動物には、輸液療法を実施します。

  慢性腎臓病の動物での定期健診はもちろんですが、みため元気な動物達にも健康診断をお薦めしております。ヒトでも、一定年齢以上になると年に1回程度、健診があるように、当然のことながら動物でも重要と思われます。犬および猫の1年間はヒトの4年間以上に相当するため、年に1回の健康診断はヒトの4年に1回程度であり、これだけで十分とは言えない面もありますが、最低年に1回はお薦めしております。

  2014/10/20   スタッフ

矢田獣医科病院

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