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スタッフブログ

腸内細菌叢について

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 なんだかよく分からない天気ですが、今日は外が暖かいです。

 本日は、腸内細菌について少しお話ししたいと思います。嘔吐、下痢に代表される動物のお腹の病気は、とくに季節性があるわけではなく、他の疾患と比べると年中比較的多くみられます。下痢は、異物摂取、薬品摂取、寄生虫、腫瘍、膵炎、腸炎など原因が多岐に渡るため、しばしば原因究明に難儀することもあります。疾患により下痢のタイプや、頻度は異なりますが、症状が慢性的に継続する場合は、少なくとも何らかの腸内環境の異常が示唆されます。

 人医学において、近年、腸内細菌叢の研究が進歩し、様々な疾患との関連性が示唆されております。動物では、ヒトほど十分な科学的根拠がまだありませんが、おそらく関連性が全くないとは言えず、腸内環境の整備ついて動物でも検討する必要があると思われます。

 掲載させて頂いた写真は、異なる犬の便をグラム染色という方法により染め出し、光学顕微鏡で観察したものです。この染色により、腸内細菌を青または赤で染色することで、その細菌が善玉菌なのか、悪玉または日和見菌なのかを大まかに判別することができます。善玉菌は、ほぼ全てが青く染まる細菌なので、青い細菌が少なく、赤い細菌が多い場合、腸内細菌叢が乱れている可能性が示唆されます。

 上下いずれの個体も基本的に正常便を排出しますが、上の個体は時折、軟便や血便を呈しております。下の個体は、以前、軟便傾向を呈していたため、それ以降、乳酸菌サプリメント(Enterococcus faecalis)を常時与えております。上の個体には、特に整腸剤は与えておりません。上下の写真をよくご覧頂きたいのですが、上の写真では、青い細菌がみられるものの、赤い細菌とほぼ同等であり、善玉菌が優勢とは言い難い状況です。一方、下の写真では、明らかに青くダルマ型を呈した細菌が赤い細菌より多くみられていることから、良好な腸内環境が構築されていると思われます。

 便検査は、消化器疾患を鑑別する上で、初歩中の初歩であり、到底この検査だけで全てを把握できませんが、便は口以上に物を言う存在かもしれません。ヒトと同様に、動物も有害な環境因子に暴露される時代ですので、腸内環境の整備は重要であります。

 

  2016/02/12   スタッフ

慢性疾患に対するお薬について

ようやく少し雪が積もり、北陸らしい冬といった感じですね。笑。

 本日は、慢性疾患におけるお薬の使い方について、少しお話ししたいと思います。動物にもヒトと同様の病気が数多くあるため、日常的に使用される薬剤の種類も年々増加しております。特に、慢性の病気(心臓病、腎臓病、糖尿病、内分泌疾患、高脂血症etc)では、完治を見込めないものが多く、お薬の力に頼らざる得ない現実があるため、栄養管理とともに、うまく服用していく必要があります。以前は、長期生存が困難であった心臓病も、様々な内服薬の誕生により、動物達の生活の質向上に大きく寄与していると言えるでしょう。

 ところで、調子が良いからといって全く定期健診を受けず同じ薬何年も飲み続けているとどうなるでしょう?この問題には答えがいくつかあります。もちろん、一生涯に渡って飲み続けても生体に悪影響を与えない薬剤もあります。第二に、必要ない薬を飲み続けている可能性です。第三は、さらに他のお薬を追加しなければいけない状態なのに、前の処方を継続してしまっているケースです。

 第二および第三の例として、肺に水がたまる、体がむくむなどの心不全徴候に対して使用される利尿剤があります。利尿剤を使用することにより、体から適度に水が抜ければ、大きく症状は改善されます。ところが、水を引き過ぎると、必要な水も奪われ脱水状態となり、、腎不全などを招来しかねません。第三の場合は、逆に他の利尿剤を追加するか、増量することも検討する必要があります。

 慢性疾患が故に、病気が進行するスピードがゆっくりな場合もあり、元気にみえてもよく調べてみるとかなり病態が進行していることもあるため、注意が必要です。いずれにしても、何年もメンテナンスをしていない車に、そのまま乗り続けること程怖いことはありません。

  2016/01/21   スタッフ

明けましておめでとうございます

 明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願い致します。今年は、暦的に短いお正月でした。笑。山側でも行きが非常に少なく、もう春の訪れさえ感じてしまう奇妙な天候です。

 この時期、空気が乾燥していることを除けば、心疾患や皮膚疾患を有する動物は比較的過ごし易い季節かもしれません。一方、流行病として、猫でかぜ様症状を起こす「猫伝染性鼻気管炎」には注意が必要です。以前、ブログでも簡単な説明をさせて頂きましたが、ワクチンを接種している個体も感染しないわけではありません。また、一度これらのウイルスに感染すると、体内からウイルスが完全に消滅する可能性が極めて少ないため、免疫力が低下した時に再び症状が現れることがあるため、非常に厄介な病気といえます。この病気を起こす病原体として複数のウイルスや細菌が分かっており、どの病原体に感染するかで症状は異なりますが、目やに、鼻水、くしゃみ、よだれなどの症状がみられる場合は、重篤化する前に早急な治療をおすすめ致します。同居している他の猫へ伝播することがあるため、複数頭で飼育されている方は、他個体への感染に十分注意する必要があります。

 野良猫の何パーセントがこれらの病原体に罹患しているかははっきり分かりませんが、そうした動物との接触により感染する可能性は非常に高いと考えた方が良いでしょう。感染を防止する方法としては、やはりワクチン接種と室内飼育に尽きると思います。

 

  2016/01/05   スタッフ

とうとう師走に・・・

 とうとう、12月になってしまいました。何かそわそわする月です。笑。暦の関係で、今年は年末年始の休診日は比較的短いのですが、内服薬を常時使用している動物達は、お薬を切らさないようにお気を付けください。もし、なくなりそうであれば、年末になる前に早めのご対応をお願い致します。

 今年は、暖冬とは言え、朝晩はかなり冷え込んでおります。心疾患や、呼吸器疾患を有する動物にとっては、過ごし易い季節と言えるかもしれません。しかしながら、あと半年もすれば、また暑い季節がやってくるはずです。現在、体重過剰で呼吸に支障をきたしているワンちゃんなどは、この時期を有効に使い、夏になる前に是非ダイエットを頑張ってみて下さい。なかなか体重管理がうまくいかないという場合、必ず原因があるはずなので、一度ご相談いただければと思います。ご一緒にその動物にとって最適なプランを考えていきましょう!

  2015/12/08   スタッフ

健康診断の重要性

 あっという間に前回のブロブ更新から大部時間が経ってしまいました。朝晩は、冷え込む様になり疾患を持ったワンちゃんネコちゃんは、寒暖の差に応えているかもしれません。

 これまでも、検診の重要性はお話しさせていただいております。昨今、特にヒトの乳がんにおいて定期健診が盛んに議論されております。医学的に、ある一定頻度での受診が推奨されておりますが、検診を受ける頻度は人によって全く異なるのが現状でしょう。動物も同じで、飼い主様により考え方も異なりますので、中には一生涯、全く動物病院に来ることなく、亡くなる動物もおります。確かに、検診は決してパーフェクトなものではなく、一回の検診で「異常なし」であっても、その後、まもなく病気が判明することも珍しくありません。「異常なし」と「正常」が混同されがちですが、これらの単語の意味は大きくことなることを知っておく必要があります。通常の検診でチェックするのは、明らかな異常があるかないかであり、異常がないからといって、正常であるとは誰も言えないということです。「正常」を証明することは、非常に困難なことであり、まずベルトコンベア式の集団検診では無理であるといえます。

 では、検診を受ける意義はどこにあるかという問題です。人間ドッグ等に行かれている方は、よくご存知だと思いますが、動物においてヒトと全く同じ検査項目を実施することは、現実的に不可能です。では、血液検査のみで全ての疾患を診断できるかというと、もちろんそうではありません。なぜなら、血液検査で診断できない病気の方が実際には多いからです。しかしながら、身体検査、血液検査、X線検査、尿検査などの簡単な検査を組み合わせることで、診断精度が向上し、命に関わる重大な疾患を発掘できることも多々あります。動物の場合、明らかな症状が既に発現している場合、その疾患がかなり進行していることが多いため、症状がないうちに、検診を受けておくことが重要と言えます。仮に病気になったとしても、その動物の基礎データをあらかじめ知っておくことで、過去のデータと比較することが可能となり、有用な情報となり得ります。

  2015/10/26   スタッフ

動物愛護フェスティバル2015

  秋の大型連休も終わり、今日からお仕事という方々も多いのではないでしょうか。

 さて、昨日は西部緑地公園にて動物愛護フェスティバルが開催されました。お天気にも恵まれ去年にも増す盛況ぶりでした。開催にあたりご尽力された先生方はじめ関係者の皆さん、そして来場された飼主の皆さん、そして動物達に深く御礼申し上げます。

 本フェスティバルでは 動物とのふれあいをモットーに様々なブースが開設され、県民の方々に対して動物を色々な角度から知って頂くための場が提供されております。今回、マイクロチップの促進キャンペーン、動物健康相談、なりきり獣医さんなどのブースを石川県獣医師会では開設させて頂きました。なりきり獣医さんのコーナーでは、小さいお子さんを対象に白衣をきてもらい、聴診器を用いて実際に犬の心臓の拍動を聞いてもらい、生命の営みを体感していただきました。ヒトより大分早い心拍数に驚かれた方々もいらっしゃいました。

 マイクロチップのコーナーでは、普及促進のため先着順でマイクロチップの無料優待券の配布を行いました。マイクロチップについてご存知の方も多いかもしれませんが、初めて聞いたという方へ、今一度、簡単なご説明をさせて頂きます。マイクロチップは、直径2-3mm×15mm程度のプラスチック製のカプセルであり、このカプセル内に15~20桁程度の番号が入力されております。このカプセルを予め動物に埋め込んでおくと、万一失踪した際でも、どこかでその動物が保護されれば、マイクロチップリーダーという特殊な装置を用いて体の外から番号を読み取ることができます。そして最終的に個体情報と照合することで、その動物が飼主様の下へ帰還できる可能性が生まれます。マイクロチップは、埋め込み後、皮下で多少の移動がすることはありますが、生体にとって安全であることがすで証明されております。埋め込みは、背中に注射するのと同じような感じで、通常麻酔などをかけずに実施することができます。

 現在、動物保護施設における愛玩動物の殺処分は、石川県においても残念ながら後を絶たないのが現実です。マイクロチップの普及のみで解決する問題ではありませんが、もし保護動物達の個体情報を把握することができれば、飼主の下に帰ることも可能となり、殺処分ゼロへの一助になることが期待されます。したがって、末永く動物達と暮らして頂くためにもマイクロチップの埋め込みをおすすめ致します。

 本フェスティバルですが、また来年も開催予定ですので、動物を飼育されている方々は、是非ご参加頂ければと思います。

  2015/09/24   スタッフ

尿管結石について

 暑い夏も終わりを告げ、秋めいてまいりました。今年も猛暑が続き、特に呼吸器および循環器系疾患を持つ動物は、大変な時期でしたが、涼しくなることで、多少は楽になったのではないでしょうか。

 以前、膀胱結石のお話しさせていただきましたが、今回は、膀胱以外に腎臓および尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)の結石について、書いてみます。

 普段摂取している食物や水、体質的な問題により泌尿器系にも石が形成されることは、まさにヒトと同様です。まず、尿を産生する腎臓内に結石が形成されると、その結石が一生涯特に悪さをせず腎臓内に留まっていてくれることもありますが、運が悪いと、その先にある尿管に移動し、尿管に詰ることがあります。これが、結石による尿管閉塞(いわゆる尿管結石)です。傍放送局の「〇〇〇〇ガッテン」をご覧になった方は、お分かりでしょうが、尿管自体に痛みを感じる神経は走っておりませんが、尿管が結石により閉塞し、腎臓が尿を排出できなくなると、腎臓内圧が上昇し、腎臓がパンパンになることで、腎臓周囲の神経が圧迫され、ヒトでは激痛を生じると言われております。この疾患を患うと、時間が経てば経つほど、腎臓の損傷は増大し、腎不全となり最終的に尿が産生されなくなるなど、致死的な事態となります。

 血尿、尿が出ない、吐く、食欲消失などの症状が多くみられます。血液検査により腎数値の上昇などがみられることが多いのですが、最終的に腹部X線検査および腹部超音波検査を組み合わせること診断します。

 人医療では、衝撃波による結石の破砕が実施されておりますが、一部の施設を除き、動物で実施することは難しく、尿管結石や尿管狭窄による尿管閉塞が判明した場合には、内科療法として急性腎不全の悪化を抑制するための輸液療法を実施しますが、改善が得られないことが多々あります。この場合、外科的治療として尿管結石を外科的に除去する方法や、尿管にステントを挿入する方法や、または腎臓と膀胱に特殊な器具を装着し迂回路を形成するなどの手術を検討する必要があります。

 予防として、腎結石を早期発見するための定期的な尿検査と画像診断が重要と思われます。特に、過去の尿検査で尿結晶が検出された動物や、結石が尿道(膀胱のさらに先)に詰ったことがある動物は、要注意です。

 

 

 

  2015/09/01   スタッフ
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